制御・ロボット工学研究室(忻研究室)
研究テーマの紹介

劣駆動系の新しい非線形制御理論の構築とそのアクロバットロボット制御への応用


劣駆動システムでは,アクチュエータの数が全駆動システムに比べて少なくて済むため,コスト,重量,信頼性の点で優れている.そのため,宇宙,深海などでの極限作業ロボットのみならず,今後は家庭での作業ロボットや医療ロボットなどの開発においても非常に期待されている.しかし,そのような劣駆動システムには強い非線形性があり,姿勢によって特性が大きく変化するため,劣駆動システムの姿勢制御に関する研究は挑戦的な課題である.

制御・ロボット工学研究室では,劣駆動システムの代表例である2自由度劣駆動アクロバットロボットを対象とし,振り上げ倒立,宙返り着地を実現する制御則の開発に成功するとともに,製作した劣駆動ロボット実機による振り上げ倒立制御に成功している.また,鉄棒運動をする体操選手の3自由度モデル(手が非駆動で,肩,腰が駆動)のロボットを対象とし,そのロボットの振り上げ制御系の設計・解析に国内外で初めて成功している.それらの研究成果は権威のある国際学術雑誌に掲載され,数多く引用されている.



図1:体操選手とその2リンクモデル化




図2:鉄棒ロボットの実験風景




図3:体操選手とその3リンクモデル化



現在,多自由度の劣駆動システムに対して,生理学的な知見などを考慮するとともに,非線形制御を活用した,消費エネルギーが少ない上に,環境変化に対してロバストな新しいロボットの制御理論を構築し,その劣駆動ロボットへの実機応用ならびに人間の様々な技能制御の工学的実現を目指している.

本研究は,人間の運動のメカニズムの解明に対しても制御工学とロボット工学の立場から貢献を与えるものと考えている.さらに,ロボットに代表される各種リンク機構の駆動制御に対して新たな糸口を与えることができるとともに,家庭用ロボットや医療ロボットなどの産業にも新技術を提供し,もって,その発展に寄与することが期待できると確信している.




動画1:エネルギー制御法による振り上げ制御 → 安定化制御 → 制御OFF
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動画2:安定化制御 (+外乱)


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